血便・下血・便潜血

血便・下血・便潜血

便の色の変化、見て見ぬ振りをしていませんか?血便・下血・便潜血とは。

血便とは便に血が混じる事、下血とは血便に限らず血液が肛門から出ること全般を指した言葉です。お尻を拭いた後のトイレットペーパーに血がついていた、便の色がいつもと違い少し赤みがかっていたなどの症状に気づいた事はありませんか?本来、便の中に血液が混じる事はありません。血便、下血は明らかな消化器疾患のサインであると言うことができます。

便潜血と言うのは、目に見えないわずかな血液の成分が便に混じることをいいます。健康診断等でもよく行われる検査項目であり、消化器疾患の早期発見に役立つ検査です。

血便・下血・便潜血は医療機関を受診せず放置されやすい症状の1つです。その理由として「出血が少量だから大丈夫だと思った」「気にはなっていたが診察を受けるのが恥ずかしかった」「生理だと思っていた」などがあります。

しかし、血便・下血・便潜血は放置すると深刻な病状に進行する可能性を持った症状です。症状に気づく、または健康診断で便潜血陽性と出た場合には早急に消化器や内視鏡の専門医療機関を受診することをお勧めします。

少量の出血だから大丈夫。ホント?

血便や下血を放置してしまう理由として多いのが、出血が少量だから大丈夫だと思っていた、というケースです。確かに皮膚など体の表面からの出血であれば、表に出ている出血の量がそのまま怪我の程度を示す指標となりますが、血便や下血の場合は出血が少量に見えても、消化管の中に多量の血液が溜まっていることがあります。持続的に出血が続くと、貧血が進行しショック状態となり命に関わることすらありえます。
また少量の出血だった、あるいは便潜血陽性でも自分の目では気づかない程度であったために「肛門が切れただけだと思っていた」「痔だと思って様子を見ようと思った」などの理由で時間が経つうちに、実は大腸がんが進行していたというケースもあります。大腸がんを患う方の人数は年々増加傾向にあり、この30年間でおよそ5倍になっています。がんによる死亡数では、大腸がんは男性で肺がんについで胃がんとほぼ同数の第2位、女性では大腸がんが第1位で、最も多い死亡数となっています1)
血便・下血に関しては少量の出血だから大丈夫、という判断は思わぬリスクを抱える可能性があると言うことがわかると思います。

危険な血便・下血を知ろう

血便や下血により危険な状況になる可能性としてまず想定しなければいけないのは、多量の出血です。肛門からの出血が多量である場合はもちろん、表への出血は少量でも呼吸が早い顔色が悪い意識がおかしいなどの症状がある場合は、体内で多量の出血が起きている可能性が高いと考えられます。命に関わることもあるため、早急に医療機関を受診するようにしてください。
血便や下血は、大きく分けて鮮やかな赤い色をした便(鮮血便)である場合と、真っ黒な色をした便(タール便)である場合に分かれます。これは出血部位の違いによる色の違いで、大腸など下部消化管から出血した場合には鮮血便に、胃や十二指腸など上部消化管から出血した場合はタール便になりやすくなります。
特に注意が必要なのはタール便の方で、胃や十二指腸などの上部消化管は大腸と比較して血流が豊富で、また胃酸の影響を受けて出血が多くなりやすいのです。そのためタール便に気づいた場合には、急いで胃内視鏡などの検査を受ける必要があります(貧血などの治療として鉄を含む薬を飲んでいる場合には便が黒くなりますが、これは出血ではありません)。
そのほか腹痛を伴う血便や下血では、感染性胃腸炎や虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎などの可能性がありいずれも専門的な対処が必要な疾患です。早急に専門的な医療機関を受診することをお勧めします。

大腸がんは早期発見、早期治療で90%以上が完治します

血便・下血・便潜血がある時に絶対に避けたいこと、それは放置している間に大腸がんが進行してしまうことです。がんの進行度を表すのに、ステージ分類という方法があります。大腸がんの場合は大腸のどれだけ深いところまでがんが進んでいるか、リンパ節や別の臓器などに転移がないかどうか、などで決定されます。
大腸がんが粘膜内や粘膜下層という浅い層まででとどまっている場合、内視鏡で切除が可能であるケースも多く、その場合完治が可能です。
それに対してがんが粘膜を越えて筋肉の層まで進行している、リンパ節や他臓器に転移しているなどステージが進行すると内視鏡での治療は困難となり、開腹手術や化学療法、放射線療法が必要となります。このようなつらい治療を懸命に行っても、ステージ4という最も進行した状態の場合、5年生存率は20%以下。つまり5人に4人以上は5年以内に亡くなってしまいます2)
血便・下血・便潜血は怖い病気のサインですが、逆にいえば大腸がん早期発見の大きなチャンスです。放置している間にがんが進行してしまっては、あまりにもったいないことが分かりますね。

大腸がんを早期発見するためには?

大腸がんは初期では症状がないことも多く、早期発見は簡単ではありません。検査を早く受けることが重要ですが、採血検査やレントゲンは参考になるものの、確実な診断にはなりません。大腸がんがあるかどうかはっきり確かめるには、大腸内視鏡検査が必要です。
血便や下血、便秘でお腹がよく張る、体重が急に減少したなどの症状がある場合はもちろん、症状がなくても便潜血陽性と出たのであれば、がんは進行性の病気ですからできるだけ早急に行うことが重要です。
大腸内視鏡では、大腸がんだけではなく大腸ポリープに対する診断、処置を行うことができます。実は大腸がんの85%は良性のポリープから進展してがんになったものです。ポリープのうちに切除することで、大腸がんを予防できる可能性があります。
大腸がんは39歳までと比較して、40歳代では罹患するリスクが4-5倍になり、50歳代以降ではさらにその数倍のリスクを抱えることが分かっています1)
「40歳になったら、2年に1回の大腸内視鏡検査」を受けることをおすすめします。
大腸がんを患ったご家族や親戚がいる方や、これまでに大腸ポリープを指摘されている方は、大腸がんが発生するリスクがより高いと考えられますので、毎年の大腸内視鏡検査が必要です。

里村クリニックの大腸内視鏡

大腸内視鏡検査の苦痛や精度は、医師の経験や技量が大きく左右します。当院では、内視鏡専門医が検査を担当し、画像を一緒に見ながら病状を解説します。
大腸内視鏡検査では空気を送り込んで大腸のヒダを広げることで、診断精度を高めています。通常の空気ではお腹にたまって苦しくなってしまうため、当院では炭酸ガス送気システムを使用しています。炭酸ガスは空気と比べて200倍早く吸収されるため、不快感を軽減することができます。

血便・下血を自覚している方、便潜血陽性と言われた方へ。

里村クリニックでは内視鏡を通して大腸がんを早期に発見することで、地域の死亡数ゼロを目指しています。
手遅れになる前に、ぜひご相談ください。

当院では24時間WEB予約を受け付けております。

参考・引用資料、文献
1) がんの統計2021https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2021.pdf
2) 国立がん研究センター中央病院 ホームページ
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/160/index.html

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