痔核・いぼ痔・きれ痔

痔核・いぼ痔・きれ痔

痔核とは?いぼ痔、きれ痔、痔瘻との関係

痔核とは、肛門の近くや直腸にしこりができている状態のことをいいます。できもの(いぼ)のように見えることもあるので、いぼ痔とも呼ばれています。きれ痔というのは硬い便の排泄や下痢などによって肛門の皮膚が避けてしまうことを指し、正式には裂肛と呼びます。痔瘻(じろう)は肛門の中と外がトンネルでつながってしまう状態で、あな痔と呼ぶこともあるようです。
この中では痔核(いぼ痔)の頻度が最も高く、2人~3人に1人が発症するとされています。下痢や便秘、妊娠や出産、長時間の立ち仕事や座った姿勢が発生の原因になります。出血に気づいていてもそれほど痛みが強くないケースや、痛みがあっても恥ずかしくて受診をためらってしまうケースが多く、症状が進行してしまうという問題があります。

肛門科

痔核の出血やつらい痛み。原因は?

痔核はもともと誰でも肛門近くに持っている組織が、何らかの原因で一部弱くなること1)や、周囲の血流が障害され血液がうっ滞して引き伸ばされることで、しこりとなってしまったものです。しこりの内部には血液がたまっているため、出血が主な症状になります。出血は紙に付く程度のものから、シャーッと多量の出血を起こして貧血になってしまうものまでさまざまです。
痔核は肛門より内部(直腸粘膜)に発生する場合と、肛門周囲にできる場合があります。内部にできるものを内痔核(ないじかく)、外にできるものを外痔核(がいじかく)と呼びます。直腸粘膜には痛みを感じる神経がないため内痔核では痛みを感じることはありませんが、外痔核では肛門周囲の豊富な神経が引き伸ばされるため、強い痛みを感じます。座る姿勢がつらくなるので、痔の方用の円座クッションなどがあるのはご存知の通りです。

痔核は進行性の病気です

内痔核の場合それほど痛みがなく、出血が少量である場合そのままにしてしまいがちです。しかし、痔核は徐々に進行する可能性があることに注意が必要です。
内痔核はGoligher分類という方法で、進行度により4段階に分けられています。1度が最も軽く、数字が上がるごとに進行し4度が最重症です。


・1度:排便時に肛門より内部でふくらむものの、肛門の外にでてくることはない状態
・2度:排便時に肛門より外に痔核がでてしまうものの、排便後自然に戻る状態
・3度:排便時に肛門より外に痔核がでてしまい、手で戻さないと戻らない状態
・4度:排便時に肛門より外に痔核がでてしまい、元に戻すことができない状態

1度や2度の状態であれば、生活習慣の改善や薬を使用することで症状の改善を見込むことができますが、3度以上になると手術が必要となるケースが多くなります。そこまで進行する前に、適切な診断と治療を受けることが重要です。痔核の診断を最も得意としているのは、消化器を専門とする医師です。

痔核の手術が必要な状況まで進行しないために

進行する前の痔核に対する治療の基本は、生活習慣の改善です。痔核に関係する重要な生活行動としては、排便習慣と食生活が挙げられます。
排便習慣の改善
・便秘や下痢に注意する:排便時に強くいきむことや下痢は、肛門の血流を障害させ皮膚や粘膜に負担をかけます。
・便意を感じた時に排便する:便意をがまんすると便秘になりやすく、また便意がないのにトイレで長く座っていると肛門に負担をかけます。
・排便時間を短くする:長時間のいきみは肛門の負担になるため、排便時間は3分以内程度に抑えることが勧められます。
・排便後肛門を清潔にする:温水洗浄便座でやさしく洗うのがいいのですが、洗いすぎは逆効果なのでほどほどに

食生活の改善
・水分、食物繊維を十分に取る:食物繊維を十分にとると便秘の予防となり、また起床後にしっかり水分と朝食をとると、便意を誘発することができます。
・アルコールや香辛料を控える:アルコールや唐辛子は肛門の刺激につながります。

その他
・体の冷えや長時間同じ姿勢をとることを避ける:冷えや座りっぱなし、立ちっぱなしは肛門の血流が悪くなる可能性があります。
・入浴する:清潔にするだけではなく、血流が良くなりやすいです。
・運動習慣をつける:腸蠕動を高めることで排便を改善します。

クリニックで痔核の治療を受けましょう

痔核の診断、治療は消化器専門の医師から受けるのが安心です。例えば肛門から出血をきたすのは痔核だけではなく、大腸がんによる出血かもしれません。症状が進行する前に専門的な診療を受け、痔核と診断されればすぐに治療を開始しましょう。
症状が軽度であれば前項に挙げたような生活習慣の指導のみで経過を見ることもありますが、出血や痛みが強い場合、持続する場合には薬剤を使用して治療を行います。痔核に対する薬剤は軟膏や坐薬などの外用薬と、飲み薬があります。どちらも痔核による炎症を抑えることで出血や痛みを軽減させる効果が期待できます。痔核に対しては外用薬の効果が高く、飲み薬は補助的な役割となります。
薬を使用しても症状が改善しない場合や、Goligher分類3-4度のような、飛び出してしまう痔核に対しては、注射や手術治療などの外科的処置が検討されます。専門機関での治療となるため、適切な医療機関を紹介してもらうようにしましょう。

里村クリニックでは、消化器を専門とする院長を中心に診療を行っています。痔核に対する適切な保存治療を実施し、必要な場合には迅速に外科的処置を行う専門医療機関を紹介します。

慢性的な下痢にお困りの方は、ぜひご相談ください。
当院では24時間WEB予約を受け付けております。

※参考
1) 岡本欣也 痔核の治療. 医学と薬学77(11), 2020

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