高尿酸血症

高尿酸血症

高尿酸血症とは?痛風との関係

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)は、尿酸値が高いことです。血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。全人口のうち男性で20%、女性で5%が高尿酸血症であるとされる、非常に頻度の高い疾患です。健康診断で尿酸値が高い、と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?

 

尿酸値といえばビールの飲み過ぎ、というイメージがあるかもしれません。確かにビールにはプリン体が含まれていて、プリン体を分解すると尿酸ができるため飲み過ぎは高尿酸血症の原因になります。気にする人が多くなり、プリン体ゼロのビールも発売されていますよね。

 

ただし、プリン体は私達の体のあらゆる細胞に含まれているため、体の新陳代謝に伴って常に尿酸が作り出されています。一日約700mgが体内で合成されているのですが、そのうち70-80%は生命活動による老廃物であるとされており、食品のプリン体から作られる尿酸は20-30%です。

 

尿酸値が高くなる原因は、食事や生活習慣の影響もさることながら、尿酸を作り出す・または尿酸を運ぶ働きをする遺伝子の異常が関与しています。ビールさえ飲まなければOK、というような単純な問題ではないのです。

 

高尿酸血症と密接な関係があるのが、痛風です。急に足の親指のつけ根が赤く腫れて激痛を起こす痛風発作ですが、体内に溶けきれなくなった尿酸が関節に析出することにより関節炎を起こしています。高尿酸血症の方全員が痛風発作を起こすわけではありませんが、痛風になる方は、例外なく高尿酸血症です。痛風発症にも遺伝的要因が深く関わっており、そのほか暴飲暴食やストレス、肥満や脱水などが痛風の引き金となります。

食べ過ぎ、飲み過ぎ
体重増加

もしかして自分も高尿酸血症?症状は?

尿酸値が高い、というだけでは症状はありません。健康診断で尿酸値の高値を指摘されてもピンと来ない要因がここにあります。せっかく早い段階で異常を見つけることができたのに、二次検査や治療に進むことができないケースが非常に多いのです。

痛くもかゆくもない、仕事が忙しいなどの理由で病院受診をしないでいると、思わぬリスクを抱えることになります。

尿酸値が高いと何が問題なのか

尿酸値が高いことで直接的に起こる問題が痛風です。足の親指のつけ根の関節に起こることが多いですが、膝や肘などさまざまな関節に起こります。歩けないほど痛みが強くなってしまうことも多く、救急車を呼ぶ患者さんもいるほどです。痛風発作は安静や水分摂取、内服薬でおさまるものの、高尿酸血症を放置すると発作を繰り返すため、仕事や日常生活への影響が大きい問題といえます。繰り返しの炎症により関節の変形が起こり、慢性的な痛みの原因となることもあります。

高尿酸血症が長期間に及ぶと、手足の指先の関節や膝・肘・アキレス腱・耳などに尿酸の結晶が蓄積する痛風結節ができることがあります。まれですが、骨の中や脊髄近くなどに発生すると骨折や神経障害の原因になることがあります。

また、高尿酸血症の方は尿の中に尿酸を排泄しようとするため、尿が酸性になっています。尿は酸性になると溶解度が低下するため、溶けきれなかった尿酸が結晶として析出しやすくなります。その結果として、尿路結石(腎結石や尿管結石)ができやすくなります。

尿路結石ができると背中やわき腹に激痛が起こります。夜中や明け方に起こることも多く、どうしようもない痛みのため救急病院を受診する方が少なくありません。あまりに強い痛みのせいで、嘔吐してしまう患者さんもいます。そうなる前に、対策したいですよね。

「尿酸値が高め」「痛風持ち」を甘くみるなかれ

高尿酸血症が原因で起こる痛風、尿路結石の怖さをお伝えしましたが、まだピンと来ていない方もいるかもしれません。それでは、「高尿酸血症は、脳・心血管病の危険因子となる可能性が高い1)」と聞くと、いかがでしょうか?

高尿酸血症の患者さんはおよそ8割の方が高血圧や肥満、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を持っており、一人の方が複数の生活習慣病を合併していることが少なくありません。良くない生活習慣の積み重ねが内臓脂肪の蓄積やメタボリックシンドロームといった体の変化につながり、その結果動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞や心不全など深刻な病気を起こしてしまうかもしれません。

高尿酸血症は慢性腎臓病の発症や進展に関連していることも明らかとなっています。ある質の高い研究によれば、尿酸値が1上がると、慢性腎臓病の発症が1.22倍高くなると報告されています。年齢や血圧など他の要因を考慮した上でも高尿酸血症がリスクとなることが分かっており、「独立した」危険因子なのです1)

このような深刻な事態に至るには、生活習慣だけではなく、遺伝的要因が関与している可能性もあります。

「尿酸値が高い」「痛風持ち」などあまり危機感を持たずに使われる言葉ですが、病気である、という認識をもってしっかりと取り組んだ方が良い問題であることが分かりますね。

尿酸値が高いと言われました。どうしたらいいですか?

尿酸値が高く痛風になったことがある方、痛風を現在おこしている方、体のどこかに痛風結節がある場合はただちに薬物治療の対象となるため、医療機関を受診する必要があります。

 

高尿酸血症には尿酸を体内で合成しすぎてしまうタイプ(尿酸産生過剰型)、尿酸を腎臓から出す量が減ってしまうタイプ(尿酸排泄低下型)、その混合型、腎臓以外からの排出が減るタイプ(腎外性排泄低下型)の4つがあります。血液検査や尿検査などで病気のタイプが診断され、それに応じて薬が開始されます。

 

痛風がない方でも、高尿酸血症は生活習慣病やメタボリックシンドロームの一部である可能性や、心臓や脳、腎臓の疾患の潜在的なリスクとなっている可能性があるため、尿酸値が高いと言われた方はまず医療機関を受診することをおすすめします。

里村クリニックで行う高尿酸血症の治療

里村クリニックは地域のホームドクターとして、地域の健康をサポートしています。内科疾患全般の治療を提供しており、「予防は治療に勝る」の考え方から健康診断や生活習慣病の治療にも力を入れています。

高尿酸血症は、痛風や尿路結石など溶けきれない尿酸が析出することだけの問題ではありません。全身的な疾患のリスクを抱える重要な予測因子であり、高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病のチェックを早急に行う必要があります。

 

健康診断で尿酸値が高い、と言われた方はぜひ当院へご相談ください。

当院では24時間web予約を受け付けております。

※参考
1) 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 ダイジェスト版
https://www.tufu.or.jp/pdf/guideline_digest.pdf

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