胃痛

胃痛・胃が痛い

胃痛って、そもそもどこの痛み?

よく聞く「胃が痛い」、という言葉。そもそもどこの痛みと皆さんは認識されているでしょうか?胃の痛みですから、胃がある場所の痛みですよね。それでは、胃はお腹のどのあたりにあるのか、ご存知でしょうか?

胃は通常心窩部(しんかぶ)、つまりみぞおちの少し左の方にあります。そのため胃痛というと、心窩部からやや左より(左季肋部(きろくぶ))周辺の痛みを指します。おへそ周りのことを臍部(さいぶ)、その下を下腹部と呼びますが、臍部や下腹部の痛みは通常胃痛とは呼びません。

痛みを起こしている原因と痛みの場所は必ずしもぴったり一致するわけではありませんが、お腹のどこが痛いのか、正確に把握しておくことが重要です。

胸やけ

胃痛を起こす原因とは

食事やストレス

胃が痛くなる一般的な原因に、食事やストレスがあります。
胃は送り込まれてきた食べ物を消化するため、胃酸を分泌します。胃酸はPH1-2という、金属でも溶かすほど強力な酸でできています。胃酸だけでは自分自身の胃も痛めてしまうため、胃を守るため同時に胃粘液を分泌します。胃酸と胃粘液のバランスが保たれていることで、胃は健康な状態を維持しています。
ところが、食べすぎやストレスが原因で胃酸の分泌が亢進されたり、胃の粘膜を防御する機能が低下したりすると、攻撃と守りのバランスが崩れ胃痛の原因となります。

胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃の粘膜に炎症が起きた状態が胃炎です。食事やストレス、喫煙などが原因で急な胃痛を起こすのが急性胃炎、主にピロリ菌感染が原因で胃の粘膜が傷つき萎縮してしまうのが慢性胃炎、または萎縮性胃炎です。

胃酸により胃や十二指腸の粘膜がただれて傷つくのが胃潰瘍、十二指腸潰瘍です。胃潰瘍では食事中から食後に、十二指腸潰瘍では空腹時、早朝に胃痛を感じるのが典型的です。

胃がん

胃がんは時に胃痛を起こします。ただし初期の胃がんは無症状であることが多いこと、胃痛はむしろ胃がんの原因の一つと考えられる胃炎や胃潰瘍でよく起こる症状であることに注意が必要です。
胃がんの早期発見には、定期的な胃内視鏡検査が効果的です。

胃アニサキス症

胃痛 胃アニサキス症

アニサキスとは、サバやアジ、サンマ、カツオなどの魚介類に寄生する寄生虫の一種です。アニサキスの幼虫が寄生している魚介類を生で食べることで体内に入り、アニサキスが胃の粘膜に噛み付いて胃痛を引き起こします。噛み付いた痛みだけでなく、アニサキスが分泌する物質に対するアレルギー反応が強く起こり、食後数時間後~十数時間後に激しい胃痛を感じるようになります。
胃内視鏡で虫体を直接取り除くことで、治療可能です。

心臓、膵臓など胃以外からでる痛み

胃痛、つまり心窩部から左季肋部に痛みを起こすのは、胃だけが原因ではありません。狭心症や心筋梗塞など心臓から来る痛み、膵炎など膵臓からでる痛みである可能性もあります。心臓の痛みは心窩部から左前胸部に痛みが広がることが多く、膵臓からの痛みは心窩部から背中に痛みが抜けることが多いものの、実際には多種多様であるため注意が必要です。

またいつもの痛み。胃痛を放置するとどうなる?

胃痛は自覚することの多い症状であるため、慣れてしまい何となくそのままにしてしまいがちです。市販薬などに頼り、その場をしのいでいる方も多いのではないでしょうか?

(コロナ禍で生活変化によるストレスの影響か、胃腸薬の市販薬が売上を伸ばしているそうです)

しっかり診断を受けた上でそのような対処をしているのであればまだいいのですが、適切な検査を受けずに時間が経過すると、思わぬリスクを抱えてしまうことになります。

自己判断によるリスク

胃痛の程度は必ずしも病状と相関しないため、いつもの痛みと思い放置していると、胃の粘膜の炎症やダメージが悪化している可能性があります。特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍は傷ついた部分から大出血を起こしたり、胃の壁に穴があいてしまったりする(穿孔)原因となります。

出血、穿孔とも命に関わる重篤な病状になる可能性があり、緊急入院や緊急手術の対象となることも少なくありません。もし口から血を吐く、黒い便が出る、みぞおち近くに激痛を感じる、などの症状を感じた場合には救急車を呼んででもすぐに病院へ行ったほうが良いでしょう。

ピロリ菌がいると胃がんのリスクが高まる

ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌です。アンモニアを作り出してバリアにすることで、胃酸から自分の体を守っています。乳幼児の頃に家庭内で感染するケースが多く、除菌しない限り胃の中に居続けてしまいます。

ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、萎縮させて慢性的な胃痛の原因となります。萎縮した粘膜は胃がんの前がん病変であると考えられており、国内の研究ではピロリ菌が居る方は、居ない方と比較して胃がんの発生リスクが5.1倍になると報告されています1)

胃がんは現在でも年間4万3000人の方が命を落とす怖い病気であり、早期(stage1)では5年生存率(診断から5年後に生存していた割合)が81.3%であるのに対して、末期(stage4)では7.9%と著しく低い値になることから、早期発見、早期治療の重要性が分かりますね。

適切な診断で早期治療を。胃痛の原因を調べるのに必要な検査

胃痛を起こす原因は胃以外にもさまざまな疾患があるため、痛みの場所や性状、経過などを聞き診察を通しておおまかな当たりをつけていきます。血液検査では貧血や炎症の程度、肝臓の値などを調べることができますし、心臓の疾患が疑われれば心電図や心エコー、膵臓の疾患が疑われれば腹部エコーや腹部CTを行うことがあります。
胃の症状が疑われた場合に、最も重要と言えるのが胃内視鏡検査です。炎症や潰瘍があるかどうか直接観察することができるため、確実な診断方法です。潰瘍から出血があれば止血、胃がんが疑われれば組織採取、アニサキス症では虫体摘出など、処置を同時に行うことができるのも大きなメリットです。胃がんの確実な診断には、必須の検査といえます。
ピロリ菌についても、組織を採取して調べることで診断することができます。血液検査でもある程度のピロリ菌の診断をつけることができますが、除菌治療を保険適用で行うためには、胃内視鏡検査が必要となります。

里村クリニックの胃内視鏡検査

胃内視鏡検査といえば、口から太い管を入れられて、「苦しいもの」というイメージがあるかもしれません。もちろん全く苦しくない、とは言えませんが内視鏡検査の方法や技術は年々改良され、楽に検査を受けることができるようになってきています。
内視鏡検査の苦しさや精度は、医師の経験や技量が大きく左右することは言うまでもありません。当院では、5000件以上の実績を持つ内視鏡専門医が検査を担当します。
胃内視鏡が最も苦しいと感じるのは、口から挿入された内視鏡が喉を通る時です。舌の根元付近を通る時に嘔吐反射(おえっとすること)がでるため苦しく感じるのです。当院では、鼻からできる経鼻内視鏡検査を実施しています。舌の根元付近を通らずに胃までたどりつくことができるため、苦しさを軽減することができます。また検査中自由に話ができるため、医師にその場で質問することもできます。

里村クリニックでは内視鏡を通して胃がんを早期に発見することで、地域の死亡数ゼロを目指しています。胃痛にお困りの方は、ぜひご相談ください。

当院では24時間web予約を受け付けております。

参考・引用資料、文献
) 国立がん研究センター ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん罹患との関係 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/287.html
2) がんの統計2021
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2021.pdf

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