下痢は私たちが日常的に起こす症状であるため、それほど大事とは捉えないのが普通だと思います。実際少し様子を見ていれば良くなることがほとんど。ただし急性の下痢、慢性の下痢それぞれ注意するべきポイントがあります。
それは、急性の下痢では脱水など重い合併症を引き起こすこと、慢性の下痢では原因疾患が見逃されている可能性です。
【急性下痢で起こる合併症】
水分が多く排出されてしまう下痢では、体から水分が急速に失われていきます。嘔吐や発熱を伴う場合はなおさらで、水分だけでなくナトリウムやカリウムといった体調を維持するために必須であるミネラル成分も失われます。
その結果起こるのが脱水です。脱水になると体がだるくなり血圧低下や重症になると意識障害が起こることもある怖い症状です。のどが異常に乾く、尿の量が少ないなどの脱水症状に注意が必要です。高齢者や乳幼児では重症になりやすく、たかが下痢と甘くみてはいけません。
細菌性やウイルス性の下痢の時に、「下痢を止めてはいけない」という原則があります。細菌や有毒な物質を外に出すことができなくなってしまうというのがその理由です。ただし、脱水症状が強い場合にはそちらの治療を優先し、下痢止めを使用する場合もあります1)。すべてのケースにあてはまる正解は存在しないので、状況に応じた専門的な判断が必要です。症状が強い場合には、医療機関の受診をお勧めします。
【慢性的な下痢の原因となる病気とは】
腸の粘膜に慢性的な炎症を起こす疾患や、粘膜を障害するがんなどの疾患があると粘膜からの分泌液が過剰となり下痢を起こします。下痢止めなどの対処で一時的に症状が軽くなっても、根本の原因は解決されないため、症状を繰り返します。
炎症を起こす疾患には潰瘍性大腸炎、下痢をおこすがんには大腸がんなどがあります。