高尿酸血症が原因で起こる痛風、尿路結石の怖さをお伝えしましたが、まだピンと来ていない方もいるかもしれません。それでは、「高尿酸血症は、脳・心血管病の危険因子となる可能性が高い1)」と聞くと、いかがでしょうか?
高尿酸血症の患者さんはおよそ8割の方が高血圧や肥満、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を持っており、一人の方が複数の生活習慣病を合併していることが少なくありません。良くない生活習慣の積み重ねが内臓脂肪の蓄積やメタボリックシンドロームといった体の変化につながり、その結果動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞や心不全など深刻な病気を起こしてしまうかもしれません。
高尿酸血症は慢性腎臓病の発症や進展に関連していることも明らかとなっています。ある質の高い研究によれば、尿酸値が1上がると、慢性腎臓病の発症が1.22倍高くなると報告されています。年齢や血圧など他の要因を考慮した上でも高尿酸血症がリスクとなることが分かっており、「独立した」危険因子なのです1)。
このような深刻な事態に至るには、生活習慣だけではなく、遺伝的要因が関与している可能性もあります。
「尿酸値が高い」「痛風持ち」などあまり危機感を持たずに使われる言葉ですが、病気である、という認識をもってしっかりと取り組んだ方が良い問題であることが分かりますね。