高い血圧が持続し血管が硬くなってくると、全身に血液を送り出す心臓も、それだけ大きな力が必要になり負担も大きくなります。これに対応しようとして心臓の筋肉は発達して厚くなり、心臓全体が大きくなります。これが「心肥大」という状態です。心肥大になると、心不全、心室性不整脈、狭心症、心筋梗塞など、他の合併症の頻度が増加します。
- 脳出血・脳梗塞(のうしゅっけつ・のうこうそく)などの脳血管障害
脳梗塞は脳血管の動脈硬化が進んで、部分的に血液の巡りが悪くなる病気です。頸動脈(首の動脈)の動脈硬化が原因になることもあるため、超音波(エコー)検査を行い身体の状態を確認することも大切です。
- 心筋梗塞・狭心症(しんきんこうそく・きょうしんしょう)
心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている血管が完全に詰まってしまうのが心筋梗塞、血管が狭くなり、心臓に十分な血液を送りこめなくなるのが狭心症です。いずれも動脈硬化が大きな原因ですが、血管が詰まる時は、硬化した動脈の内腔の一部が傷ついて、血の塊ができていることが多いです。
眼底とは、眼の奥にある「カメラのフィルム」の役割をする場所です。網膜の血管病変は脳の血管の状態を表しているともいわれ、眼底に病変があれば脳出血・脳梗塞に特に注意が必要です。(病変がなくても脳出血・脳梗塞の危険はあります)
- 高血圧性腎障害・腎不全(こうけつあつせいじんしょうがい・じんふぜん)
尿をつくる腎臓、特に糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる細い血管の集まった部分が障害され、老廃物の十分なろ過ができなくなったり尿にタンパクが出るようになったりします。
上記のような合併症を発症しないためにも健康診断で血圧の異常を指摘された際は放置せず、すぐにかかりつけ医を受診しましょう。