胃痛や胸やけなどの症状を起こす疾患は数多くあるため、症状だけから胃潰瘍や十二指腸潰瘍と診断するのは難しく、検査が必要です。胃の検査にはバリウムを使用したX線検査と胃内視鏡検査があります。
X線検査は粘膜表面の形状などから病気の存在を推定することができ、健康診断で行われることの多い検査です。X線検査で胃潰瘍の疑いがある場合や、症状や所見などから胃潰瘍が疑われる場合には、胃内視鏡検査を行います。
内視鏡では胃の粘膜を直接観察することができるため、胃潰瘍の存在だけではなく出血・血管の有無や潰瘍の進行度、治り具合を診断することができます。潰瘍の状態により治療方針が異なるため、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断・治療に必須の検査といえます。
もし出血がある場合にはその場で止血処置を行うことができ、またピロリ菌がいるかどうかの検査、胃がんが疑われる場合には組織を採取する処置など、診断と同時に処置を行うことができるというメリットもあります。
胃内視鏡は初めに確実な診断をするという目的と同時に、治療経過を観察するという目的でも有用な検査です。止血処置を行った場合には1-3日後などに止血されているかどうかを確認する、潰瘍の治療を行った場合に潰瘍の治癒を確認する、長期的には胃がんの発生が心配されるため1-2年に1回の検査で定期的に確認する、などの目的に最適な検査です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療は胃酸の分泌を抑える薬や、ピロリ菌の除菌治療、鎮痛薬など原因を除去する、などの方法が中心に行われます。再発しやすく重症化のリスクもある病気ですから、消化器専門の医療機関で診断・治療を受けることをお勧めします。